よく噛むと唾液(だえき)がたくさん出ます。 唾液には口の中の食べ物のカスや細菌を洗い流す働きがあり、むし歯や歯肉炎の予防につながります。 唾液の組成(全体像)は次のようになっています。 99.5%:水 0.25%:有機質(主にタンパク質) 0.25%:無機質 ・85%:重炭酸イオン(HCO??)=緩衝作用 ・15%:リン酸塩 唾液のは大きく6つの作用がありますが、 これは主なタンパク質によるものの作用になります。 <全ての外分泌(導管による分泌)に共通> ①ムチン:粘液性の糖たんぱく質で、糖鎖の一部は血液型物質で赤血球よりも活性が高い(血液型を判断しやすい) 細菌やウイルスを凝集させるアグルチニン作用がある ②リゾチーム:細菌の細胞壁の成分(ペプチドグリカン)を加水分解する ③ラクトフェリン:最近の生育に必要な鉄(Fe三3?)と結合して阻害 ④アミラーゼ:デンプン、グリコーゲンの加水分解酵素、唾液の他、膵液にも存在 ⑤分泌型IgA:免疫グロブリンIgの一種 ⑥ペルオキシダーゼ:強い咬筋作用を持つヒポチアミンイオンの産生に関与 ⑦炭酸脱水素酵素:緩衝作用に関わる重炭酸イオンの産生に関与 ⑧ディフェンシン:微生物(細菌、真菌、ウイルスなど)の外膜に孔を形成 ⑨シスタチン:システインプロテアーゼの阻害 <唾液に特有のもの> ①スタテリン(高チロシンペプチド):セリン残基がリン酸化し、Ca2?と結合→歯の再石灰化に関与 ②ヒスタチン(高ヒスチジンペプチド):抗真菌作用 ③酸性PRP(酸性高プロリンペプチド):セリン残基がリン酸化し、Ca2?と結合→歯の再石灰化に関与 ④塩基性PRP(塩基性高プロリンペプチド):潤滑作用 以上のタンパク質がそれぞれ役割を持っています。 それを次は、役割ごとにまとめてみます。 1.化学的消化作用:「唾液アミラーゼ」の働きによって、デンプンを分解します。 そしゃくや飲み込みの補助作用をします。 2.円滑作用:口の中を湿らせ発音をスムーズにします。 3.溶媒作用:食べ物を溶解し、舌で味覚を感じさせます。 4.洗浄作用:食べ物のカスや、細菌を洗い流します。 5.抗菌作用:リゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンが、病原微生物に抵抗します。 6.pH緩衝作用:急激なpHの変化を防ぎます。 歯にカルシウムや、リンなどのミネラル分を補給します。 ※pHが低くなると(いわゆる酸性)、歯の成分が溶けやすくなってしまいます。