歯磨きだけでは、むし歯は防げない
歯の咬合面(咬む面)はざっくり言うと、咬頭(こうとう)と溝(みぞ)があります。
わかりやすく例えると、咬頭が包丁、溝がまな板の役割をしていて、
食べ物を効率よく細かくすり潰したりかみ砕いたりできるようになっています。
小さくされた食べ物は裂溝(れっこう)というすき間を通って舌がある方へ流れてきます。
歯のすき間は小窩裂溝(しょうかれっこう)と呼ばれ、50〜200μmの幅になっています。
むし歯菌の代表であるミュータンス菌の直径は約1μmです。
極細の毛先で20μmなどもありますが、全ての歯の裂溝に効果的に届かせて
むし歯菌をキレイにすることはとても大変なことです。
だからむし歯は、このようなすき間などにでてしまうのです。
ところでみなさんは、お風呂や水間回りをお掃除している時、
ヌルヌルしたものをさわったことはありませんか。
あのヌルヌルは強い粘着力があり、小さい菌が他の菌と塊(かたまり)をつくるために作り出しています。
また、バリアの役割もしているバイオフィルムというものです。
ブラシの毛先が当たらなければ、簡単には落ちません。
このバイオフィルムで歯にくっついた菌は、
食事で食べられる糖質を食べ、酸を排泄します。
その酸が歯のカルシウムとくっついてしまうことで、歯の構造が壊れてします(一般的に溶かすと言われている現象)。
高温多湿で栄養豊富な口のなかは、地球上でも有数の細菌の繁殖しやすい環境。
ここから細菌をなくすことはできません。
「むし歯予防には歯磨き」これは国民的常識です。
15歳以上の国民の95%が毎日歯を磨いています。
実に65歳以上でも86%の人が毎日歯を磨いています。
ただ歯磨きだけではむし歯は予防できません。
歯ブラシや歯間ブラシなどの清掃を「機会的除去」と呼びます。
また、薬剤で菌がたまるのを防いだり、抑制したりすることを「生物学的除去」と呼んだりします。
この他にもさまざまな細かいプラークコントロール